
2005年5月17日
毎年5月、一斉に各税務署で高額納税者が公示され、それを見たマスコミは芸能人、スポーツ選手、有名人をランキング(長者番付)にして報道しております。前年の納税所得税額が1,000万円を超えた人の氏名、住所、納税額が5月16日から各税務署の掲示板に公示されますが、公示された人には、さまざまな業者からダイレクトメール(DM)が届いたり、セールスマンが訪ねて来たり、寄付を強要されるケースもあるようです。
ちなみに(表2)のように、アメリカなどではこうした制度は全くありません。公表されている個人の所得はマスコミが独自に取材したものです。
現在、政府税制調査会が「公示制度は犯罪や嫌がらせの誘発の要因となり、個人のプライバシーへの配慮の観点から問題が多いと考え、今後、制度の廃止を含めて検討する必要がある」と指摘しております。さらに、今年の4月からは個人の権利や利益を保護することを目的に、個人情報保護法が施行されておりますので、なおのこと見直しが必要と思われます。(現状は個人情報保護法の対象外となっています。)
公示制度一覧
(表1)
| 所得税 | 法人税 | 相続税・贈与税 | |
| 根拠条文 | 所得税法 233条 施行規則 106条 |
法人税法 152条 施行規則 68条 |
相続税法 49条 |
| 公示要件 | 税額 1,000万円超 | 所得 4,000万円超 (2,000万円超) |
(相続税) 課税価格 2億円超 遺産総額 5億円超 (贈与税) 課税価格 4,000万円超 |
| 公示事項 | 氏名 住所 所得税の額 |
法人の名称 納税地 代表者の氏名 所得金額 事業年度の開始及び終了の日 |
氏名 納税地 課税価格 |
| 公示期間 | 翌年の5月16日〜5月31日 | 申告書の提出があった日から3か月以内に、少なくとも1ヶ月間 | 申告書の提出があった日から4か月以内に、少なくとも1ヶ月間 |
| 公示方法 | 税務署の掲示場その他公衆の見やすい場所に掲示 | 税務署の掲示場に掲示 | 規定なし |
| 公示対象となる申告書の種類等 | 翌年の3月31日までに提出された確定申告書又は当該申告書に係る修正申告書 | 確定申告書又は当該申告書に係る修正申告書 | 期限内申告書、期限後申告書、修正申告書 |
(注)
1.法人税の( )書きは、事業年度が6ヶ月以下の場合。
2.相続税の課税価格とは各相続人の課税価格であり、遺産総額とは被相続人の財産の価額から債務の金額を控除した後の金額である。
所得税の公示制度等の各国比較
(表2)
| 日本 | アメリ力 | イギリス | ドイツ | フランス | |
| 公示制度 | あり | なし | なし | なし | あり |
| 主体 | 各税務署 | 各国税局 (県単位) |
|||
| 公示対象 | 管内の高額納税者 | 管内の全ての納税者 | |||
| 公示内容 (氏名・住所除く) | 税額 | 所得金額及び税額 | |||
| 公示方法 | リストの掲示(5月16日〜5月31日の期間のみ) | リストの閲覧(リストを閲覧できるのは管内の納税者に限定、閲覧者は閲覧内容を公表してはならない) |